将棋の戦法を学ぼう(18) 原始棒銀対策【振り飛車編】

2026-03-10更新
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監修
北尾まどか
日本将棋連盟 女流棋士二段 / 株式会社ねこまど 代表取締役
「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」をテーマに2010年に株式会社ねこまどを設立。将棋教室や将棋イベントを開催している。 こどもや初心者に将棋を教えるための教材としてして開発した「どうぶつしょうぎ」で、園や学校・学童などの教育機関にて普及活動を行っている。

今回は居飛車の原始棒銀に対して振り飛車を使って受ける対策を紹介していきます。前回の相居飛車編と併せて読んでいただければ、原始棒銀対策はバッチリでしょう。

■後手番での棒銀対策

 今回も前回同様、こちら側が後手という設定で指し手を進めていきます。先手より一手遅い後手での対策をしっかりしておけば、実戦で先手番を引いたときもあわてる必要はありませんね。

【初手からの指し手】※便宜上先後逆

△8四歩    ▲7六歩    △8五歩    ▲7七角

△7二銀    ▲6六歩    △8三銀    ▲7八飛

△8四銀    ▲6八銀    △9四歩    (第1図)

第1図は△9四歩まで

 まずは三間飛車に構える指し方から見てみましょう。基本的な方針は「棒銀を受け流すこと」。完全に受け止めて棒銀を粉砕することは実はあまり考える必要はないので肩の力を抜いておいたほうがよいでしょう。

 第1図では▲4八玉と囲い、△9五銀なら▲8八飛(参考図)という指し方もあります。これは次に▲9六歩△8四銀▲7八飛となれば本譜の展開に戻るので、今回は△9四歩に▲9六歩と突き返す指し方で統一します。

【第1図からの指し手】

     ▲9六歩 

△4二玉    ▲4八玉    △9五歩    ▲同 歩  

△8六歩    ▲同 歩    △9五香    (第2図)

第2図は△9五香まで

 一刻も早く攻めかかりたい棒銀側ですが、△4二玉の一手は欠かせません(第2図直前の△8六歩に対して▲同角と取った手が▲5三角成の先手になるため)。

 9筋と8筋を絡めて攻めるのが実戦的な攻め方。代えて△7四歩(参考図)とする王道の角頭攻めもありますが、以下▲4八玉△7五歩▲6五歩△7六歩▲5五角△9二飛▲7六飛が一例で振り飛車さばけます。7筋の歩は取ってもらった方がむしろ医者のさばきが楽になるのです(さばきのコツ)。


参考図は△7四歩まで

【第2図からの指し手】

     ▲9七歩 

△8五歩    ▲8八飛    △8六歩    ▲同 角 (第3図)

第3図は▲8六同角まで

 香交換を挑まれたとき▲同香と取る手はやや微妙で、△同銀に▲8八飛(参考図)と備える手が欠かせません。形勢はまだまだこれからですが、参考図では棒銀側の飛車が伸び伸びしているのに対して先手の飛車は窮屈な感じが否めません。


参考図は▲8八飛まで

 このあと△8四香とされると▲8七香と打つ手が欠かせないのも不満で、先手は手持ちの香を攻めに使えません。なにより「棒銀は銀を五段目に出られたら成功」という経験則からも、こうした8筋における数の受けは選ばないほうが無難。振り飛車らしく軽いさばきを目指したいところです。

 8筋への合わせの歩に対して▲8八飛~▲8六同角と軽く応じた第3図は先手良し。後手は△8五銀と突進しても▲9五角ですし、△3四歩などと放置しても▲9五角で結局香が取られてしまいます。

 第3図から△9四歩と辛抱してくれば▲7七角と引き、次の▲9六歩での香捕獲や▲6五歩~▲6六角での角のさばきを目指せば手段には困らないでしょう。問題なく先手有利と言えそうです。

 9筋で一歩を手にしての強引な突破作戦は無理筋に終わりました。

■四間飛車で迎え撃つ

 今度は四間飛車で棒銀を迎え撃つ作戦を見ていきましょう。

【初手からの指し手】※便宜上先後逆

△8四歩    ▲7六歩    △8五歩    ▲7七角  

△7二銀    ▲6六歩    △8三銀    ▲6八飛 (第4図)

第4図は▲6八飛まで

 対原始棒銀のコツはなにはともあれ玉を囲うこと。美濃囲いに組み切れなくても、▲4八玉や▲3八玉と1~2手動かしておくだけでもだいぶ戦いやすくなります。

【第4図からの指し手】

△8四銀    ▲7八銀    △7四歩    ▲4八玉

△3四歩    ▲3八玉    △7五歩    (第5図)

第5図は△7五歩まで

 四間飛車を指していると▲6七銀と上がって角頭を守りたくなりますが、とくに原始棒銀に対してはこれを省いて玉を移動する手にかけておくことをおすすめします。▲6七銀△7五歩となった局面では▲7八飛(参考図)が定跡の一手ながら、以下△7六歩▲同銀△7二飛に対して▲6五歩と突くと△7六飛!と取られて飛び上がります。対して▲2二角成の角交換が王手にならないのが対舟囲いの棒銀定跡との大きな違いですね。これは後手の居玉が生きてしまいます。



参考図は▲7八飛まで

【第5図からの指し手】

      ▲6五歩  

△7七角成  ▲同 桂    △7六歩    ▲5五角  

△7七歩成  ▲同 銀 (第6図)

 第6図は▲7七同銀まで

 △7七角成の角交換に対して▲同桂が驚きの一手。桂は取られますが、代償に▲5五角の飛車香両取りで良しと見ています。△7七角成に▲同銀と取る手は決して悪手というわけではないのですが、以下△7六歩▲同銀△3三角▲7七角△同角成▲同桂△3三角▲7八金△7五歩▲6七銀△7三銀が一例で漠然とした印象。後手はなんとか7筋に銀を立て直すことができてバランスを保てます。

 本譜に戻って、7筋での折衝が一段落した第6図は先手有利。駒の損得はほぼないのに対して先手玉は安定しており、また両者の銀(▲7七銀と△8四銀)には大きな働きの差ができています。

 第6図以下△7三銀には▲7四歩が痛打ということもあり居飛車は飛車を8筋でさばく未来もなくなっているのです。

■まとめ

・原始棒銀は受け止めるのではなく受け流すのが大切

・左銀は八段目にいたままでも大丈夫、▲6七銀の一手を玉の囲いに回そう

・9筋の香交換には応じない(棒銀を五段目に進ませない)

・三間飛車では7筋の歩を取り込んでもらえれば飛車のさばきが楽になる

・四間飛車では角交換を▲同桂と取る手筋を覚えよう

 

■参考棋譜1(三間飛車)

△8四歩    ▲7六歩    △8五歩    ▲7七角  △7二銀    ▲6六歩    △8三銀    ▲7八飛  △8四銀    ▲6八銀    △9四歩    ▲9六歩  △4二玉    ▲4八玉    △9五歩    ▲同 歩  △8六歩    ▲同 歩    △9五香    ▲9七歩  △8五歩    ▲8八飛    △8六歩    ▲同 角 △3四歩    ▲9五角

 

■参考棋譜2(四間飛車)

△8四歩    ▲7六歩    △8五歩    ▲7七角  △7二銀    ▲6六歩    △8三銀    ▲6八飛  △8四銀    ▲7八銀    △7四歩    ▲4八玉  △3四歩    ▲3八玉    △7五歩    ▲6五歩  △7七角成  ▲同 桂    △7六歩    ▲5五角  △7七歩成  ▲同 銀

執筆者 

水留啓(みずとめ けい) 将棋ライター・将棋講師(アマチュア四段)

日本将棋連盟コラム(2019年)、将棋情報局ヤフーニュース(2022年~)を担当。

ねこまど将棋教室にて子供から大人、初心者から有段者まで幅広く指導を継続(2017年~)するほか、専門書の執筆などにも活躍。「プロの実戦に学ぶ美濃囲いの理論」「『次の一手』で覚える実戦手筋432」(構成担当)ほか。

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